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たびたび話題に上る
“ある問題”
その始まりは、元妻との別居を始めた頃にさかのぼります。
そもそも、工場の収入だけでは足りず、
生活のためにレストランでアルバイトを始めたはずなのに、
なぜ「隠れ家」として別居先の家を契約できたのか。
──その答えは、借金です。

この時、借金の始まりはカード会社からのキャッシングでした。
契約金、家賃、当面の生活費、家財道具の購入、養育費……などなど。
工場の給料とアルバイト代だけでは、到底追いつくはずもなく、
「投資」と言い張りたかった――
いや、“投資だったと思い込みたい”一心でつぎ込んだ、
東京への遠征費や交際費の数々。
その挙げ句が、ロンドン旅行。
帰国した頃には返済が滞りはじめ、肝心の仕事は、
まさかのクビ。
それでも返済は待ってくれず、
キャッシングでキャッシングの返済をまかない、
借金はあっという間に200万円弱に膨れ上がりました。
それでも、ようやく動けるようになったばかりの自分が、
ここで止まるわけにはいかなかった。
……というより、止まりたくなかった。
アテも保証も何もなかったけれど、
「会いたい人には会える」
「行きたい場所には行ける」
そんな勘違いに支えられながら、間違った自信ばかりが育っていきました。
気づけば、家族も、仕事も、友達もなくなっていて。
「もう、失うものなんて何もない」
そんなふうにヤケになっていた気がします。
食べることだけは、バイト先のまかないでなんとかなったけれど、
生活費を稼ぐだけで精一杯の日々。
今となっては、当時どんな生活をしていたのか、思い出すことさえ難しい。
それほど、離婚とクビのショックが大きかったことを物語っているんだと思います。
そんな中、なんとか気持ちをつなぎとめていられたのは、
家入さんの影響で始めたシェアハウスの立ち上げと、
あるバンドとの再会があったからでした。
勢いに任せて駆け抜けたシェアハウスの準備期間は、
それまでの嫌なことや辛かったことを、一時的にでも忘れさせてくれました。
「これを立ち上げれば、“何者かになれる”かもしれない」
そんな思いが、背中を押してくれていました。
そのおかげで、立ち上げの最中に出会った人や、
オープン後に繋がれた人たちの中には、
今でも付き合いのある仲間もいて、
「当時のダメっぷり」を笑い合えるようになりました。
……まぁ、そのシェアハウスも、ある出来事をきっかけに追い出されてしまったんですけどね。
シェアハウスを始めるまでの間は、再び実家に戻ることになり、
弟と母から白い目で見られながら、肩身の狭い思いをしていた、ある夜のこと。
YouTubeで、懐かしいバンドの名前を見つけたんです。
このバンドとは、高校3年生の頃、
出席日数と単位がギリギリになるほどバンド活動にのめり込んでいた時期、
地元・神戸で対バンしたことがあったんです。
その見覚えのあるバンドの名前が、ふと目に留まり
YouTubeでミュージックビデオを見つけ
「今、どんな感じで活動してるんやろ?」
軽い気持ちで、クリックして再生してみたんです。
「あぁ、年数経ってメンバー変わったんやな〜」
なんて思ったその瞬間・・・
「えっ!? ギターとドラム、見たことあるんやけど…」
というか……
ドラム、まっつぁんやん!!
ギター、上出くん!?
——そう、まっつぁんことナオミチは、中学3年の頃にバンドの先輩として出会った人。
上出くんこと dEnkA に至っては、中学1年のときの野球部の先輩でした。
そんな彼らがいる「KNOCK OUT MONKEY」のミュージックビデオのカッコ良さに、
ただただ度肝を抜かれました。
でも同時に、ものすごい悔しさとどうしようもない恥ずかしさに襲われました。
彼らはちゃんと結果を出していた。
誰もが夢見るメジャーデビュー(2013年10月)も決まっていた。
ステージの上で、堂々と輝いていた。
……僕はと言えば、何もかも失って、
空っぽの状態。
過去記事「サラリーマンにジョブチェンジ」に登場する、
「顔、死んでるけど大丈夫か?」
と声をかけてくれた“友達”——
それが、ナオミチだったんです。
実はその時、彼からこう言われてました。
「俺ら、チキンジョージでライブやるから、来れへんか?」
でも、あの時の僕は、
“一番見られたくない姿を、一番見られたくない人”
に見られた気がして、素直に「行きたい」と言えなかった。
……そもそも、ライブに行けるような家庭環境でもなかったし。
あとから思えば、あの時の「バンド」って、
KNOCK OUT MONKEYのことやったんやな、って。
それが最後のやりとりになって、ナオミチとはそれきり。
再会したのは、YouTubeの画面越しでした。
「こんなに頑張ってる人の髪の毛、切らせてもらってたのに、自分から放棄したんやな……」
そう思ったら、
自分とはもう住む世界が違う人たちになってしまった気がして、
自分からまた距離を取ってしまった。
悔しさと、恥ずかしさと、情けなさと。
それらをごまかすように、
僕はさらにシェアハウスの立ち上げに注力していきました。
そして、シェアハウスの立ち上げにある程度メドが立った頃。
ある男性と出会います。
この人と出会っていなければ、
今の僕は無かったかもしれません。
安藤美冬さんを知り、出会い、行動を起こし、
家入一真さんを知り、出会い、働き方を変え、
——そして、運命を大きく変えるキッカケとなった
”あの方”と知り合い、動き、また出会い、また動き。
その一つひとつの出会いと行動が、
僕の人生に大きなうねりを起こしていくことになります。
点と点が、線になる瞬間。
それを、自分自身で体験していく日々が、ここから始まっていきます。
続きは、次回。
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